WORLD BASEBALL CLASSIC 2023

村上宗隆の劇的逆転サヨナラ打で侍ジャパンがメキシコを下し3大会ぶりの決勝進出

2023年3月21日 試合レポート

 3月20日(日本時間21日)、『2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™』の準決勝が行われ、苦しい試合展開ながら終盤に粘りを見せた侍ジャパンが6対5の逆転サヨナラ勝ちでメキシコを下し決勝進出を果たした。

 すべては最後の劇的な結末のためだったのかと思うほど苦しい試合展開が続いた。
 佐々木朗希(ロッテ)とMLBで活躍するパトリック・サンドバルの先発で始まった試合は、ともに好調な立ち上がりを見せる。佐々木は2三振で三者凡退に抑えると、サンドバルは三者連続三振と投手戦の様相となった。
 均衡が崩れたのは4回。佐々木が2死から不運な当たりで連打を打たれると、6番ルイス・ウリアスに甘く入ったフォークをレフトスタンドに運ばれ3ラン。3点のビハインドを負った。
 すぐさま同点に追いつきたい侍ジャパンだが5回の二死満塁のチャンスで2番近藤健介(ソフトバンク)がレフトフライに倒れるなど、なかなか糸口を掴めなかった。
 それでも7回、近藤のライト前安打と大谷翔平(エンゼルス)の四球でチャンスを作ると、4番吉田正尚(レッドソックス)が追い込まれた後の低めに落ちるチェンジアップを上手く掬い上げ打球はライトスタンドへ。起死回生の同点3ランとなった。

 しかし、メジャーリーガーで揃えたメキシコ打線に直後の8回表に追撃される。5回から登板し好投していた山本由伸(オリックス)だったが、1死から1番ランディ・アロサレナに二塁打を打たれると、続くアレックス・ベルドゥーゴにも二塁打を打たれ勝ち越しを許す。さらにホエイ・メネセスにも安打を許して山本は降板。ここで栗山英樹監督は湯浅京己(阪神)をマウンドに送る。
 湯浅は得意のフォークで4番ロウディ・テレスを空振り三振に抑えるも、続くアイザック・パレデスにフォークを打たれ、さらに1点を失った。だが盗塁で二塁に進んでいたメネセスの本塁突入を吉田が好送球で刺して、2点差にとどめた。これが後々、大きな意味を持つことになった。

 8回に代打・山川穂高(西武)の犠牲フライで1点差に縮めると、9回表は大勢(巨人)が無失点に抑えて、9回裏を迎えた。
 まずは大谷が口火をつける。メキシコの守護神ジョバニー・ガジェゴスの初球を右中間に運ぶと、一塁手前で自らヘルメットを脱ぎ捨て二塁へ。すると、ベンチに向かって両手で煽るジェスチャーをしてチームを大いに盛り立てる。
 そして吉田が四球を選ぶと、打席にはこの大会通して本調子ではなく、この日も3打席連続三振に倒れるなど4打数無安打だった村上宗隆(ヤクルト)。誰よりも悔しく苦しい思いをしていたが、それを振り払うかのように3球目の甘く入ったストレートを見逃さず振り抜くと打球はセンターの頭上を超えてフェンス直撃。大谷が二塁から生還すると、一塁からも代走で出ていた周東佑京(ソフトバンク)が俊足を飛ばして一気に生還。劇的な逆転サヨナラ打にベンチはあっという間に空っぽになり、すべての選手・スタッフで喜びを分かち合った。

 侍ジャパンは最高の形で連覇を果たした2009年の第2回大会以来3大会ぶりの決勝進出を決めた。決勝戦の相手は連覇を狙うアメリカ。MLBのスター軍団で相手にとって不足なし。王座奪還を狙うには申し分ない舞台が整った。